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調子どーよ的日記風味。


by wassupbaby

一か八か

ブラスカ一行の前に巨大な魔物が立ちはだかる。
「まずいな…今の俺たちでは分が悪い」
アーロンとジェクトのツートップは前の戦闘から回復も出来ておらず、後方支援のブラスカも同じように召喚出来る力も残っていなかった。
「仕方ない、退くぞ!」
しかし、背を向けようとするアーロンの横でジェクトは腰を落とし剣を構えた。
「三人でぶち当たりゃなんとかなんだろ。一か八か、やってみなきゃわかんねえよ!!」
「待て、ジェクト…っ!!」
アーロンが言い終わる前にジェクトは地を蹴って飛び出した。
身体能力に優れたジェクトが思い切り跳んでも魔物の頭まで届かない。
ビュン、と空を切る音がしたかと思うと、魔物の豪腕に弾き飛ばされたジェクトが地面に叩きつけられた。
すぐさま魔物は攻撃体制に入ったが、ジェクトはそのまま地面に伏せて動けずにいた。
「チッ…!」
アーロンは舌打ちしてジェクトの前に滑り込み、すんでのところで攻撃を剣で受け止める。
「ブラスカ!!」
倒れたままのジェクトが顔だけ上げて後方に救援を求めると、ブラスカは難しい顔で。
「ちょっと気になったんだけどね、」
「あぁ!?」
「『一か八か』って、何で一と八なんだろう。『一か十か』ならわからないでもないんだが…」
真剣に考え込む様子のブラスカにはガード二人の危機が目に入っていないようだ。
「んなこと今どーでもいいだろーが!!」
「ブラスカ様…!」
攻撃を抑えているアーロンもじりじりと圧されつつあり、悲痛な声を漏らす。
「私は納得がいかないと先に進めない性分でね。ちょっと邪魔をしないでくれるかい?」
戦闘中とは思えないブラスカの様子に呆気に取られる二人。
そこに隙が出来、アーロンの剣が弾かれた。
「!!」
アーロンがバランスを崩した瞬間、再度魔物が腕を振るう。
まともにそれを受けたジェクトは地面にめり込むように折れた。
「くっ…!!」
その衝撃でアーロンも吹き飛び、地面に体を打ち付けられる。

ジェクトは既に意識を失っている。
ガード二人が倒れてしまえば無防備な召喚士のみが標的になってしまう。

ピシッ。
衝撃波で飛んだ小石がブラスカの頬に傷をつけた。
アーロンは満身創痍の体を必死で持ち上げようとした。
「ブラスカ様…!!」
「…邪魔をしないでくれと言ったのが聞こえなかったのかな?」
ブラスカは突進してくる魔物に向かい無表情に手を伸ばし。

「イオナズン!」

爆音と共に雷撃が落ち、爆発した魔物の体が一瞬にして塵と化す様をアーロンは倒れたまま呆然と眺めていた。


戦闘終了後。
「いやぁ、考えてみたけどわからなかったよ」
「ブラスカ様、さっきの魔法は…?」
「魔法?私何か唱えてたかい?」
「……」
「あれ?そういえばジェクトは?」
「Σあ!!」

……………………………………

イオナズンはDQ呪文。
ブラスカ様の怒りはミラクルを生みます(自覚ナシ)
ちなみに『一か八か』は丁半の賭博言葉が由来だそーな。
by wassupbaby | 2006-10-09 01:05 | 365日の一日一題